精巣

 精巣上体炎

 
精巣の横には「精巣上体(副睾丸)」という細長い器官があり、精巣と精管につながっています。精巣で作られた精子は、精巣上体に貯蔵され、精管に運ばれていくのです。
 
精巣上体炎は、この小さな器官が何らかの要因で腫れてしまう病気です。一般的には、精巣上体が大きく腫れて硬くなり、陰嚢が赤くむくんで膨らんできます。高熱や悪寒を伴うこともあります。ときには下腹部にまで痛みが広がることもあります。
 
原因は尿道の出口から入った細菌が尿道を通って精巣上体に感染することで起こります。尿が濁ったり、おしっこのときに痛みが出ることもあります。性行為などと関係なく起こることも多くあります。治療開始前に細菌検査を行い、原因菌を調べておくことが重要です。原因菌として最も多いのは大腸菌ですが、若い男性では性病の原因である淋菌やクラミジアが原因となることがあります。
 
治療は抗生剤になります。あまり症状が強い場合は入院し点滴での抗生剤投与を必要とすることもあります。内服治療の場合は2週間程度の治療が必要となりますので、症状が治まってきたと思ってもしっかりと治療を継続することが大切です。痛みや腫れが強い場合は、冷やしたりすると少し楽になります。細菌検査の結果で抗生剤が合っていないようなら、その結果に合わせて感受性のある薬剤に変更し治療を継続します。
 
精巣上体炎で陰嚢が腫れるのは精巣上体が腫れることで起こります。この腫れは精巣上体炎の治療後、痛みがなくなった後もしばらくしこりのようになって残ることがあります。小さくなるにはしばらく時間がかかることが多く、小さくなってもしこりとして残ってしまう場合もあります。痛みがなく感染が改善していれば、基本的には放っておいて問題はありません。

 精巣捻転

 
男性ホルモンや精子を作る精巣という臓器には、血液が流れる管(動静脈)、精子が通る管(精管)、神経がつながっており、これが「精索」というひも状の束になっています。
精巣捻転は、この精索がねじれてしまい、精巣に血液が流れなくなる病気です。精巣が腫れあがり、激しい痛みが出ます。嘔吐などを引き起こすこともあります。成長期の思春期の男子に多い病気なのですが、新生児や成人にも見られます。
 
痛みが非常に強いので、すぐに医療機関を受診することが多いですが、そうでない方もいます。とくに思春期の男子は、羞恥心などから周囲の人に相談できず、痛みを我慢することがあります。しかし、早急にねじれを戻さないと、精巣が壊死してしまうのです。症状が出始めてから12時間以内、できれば4~6時間以内に手術を行い、捻転を解除できたならば、精巣を残せることも多いのですが、それ以上経過してしまうと、壊死に陥った精巣を除去しなければならなくなります。
 
この疾患に罹患した後で問題となるのは、精子を作る能力に影響が出かねないということです。精巣が壊死・萎縮することに伴い、精子のもとになる細胞が作られなくなり、妊孕性(妊娠させる能力)が低下、もしくは無くなりかねません。陰嚢の激しい痛みがある場合は、一刻も早く医療機関の泌尿器科を受診するようにしてください。
精巣捻転の治療は、一部の例外を除き、緊急手術です。陰嚢を切開して精巣のねじれを戻し、再びねじれたりしないよう糸で固定します。反対側の精巣もねじれやすいため、固定しておきます。

 陰嚢水腫

 
精巣を覆っている精巣鞘膜の中に水が溜まり、陰嚢が大きく膨らんでくる病気です。大人でも子供でも起こることがあります。腫れの大きさは様々で、大きくなるスピードは人それぞれですが、放っておくと結構大きくなることがあります。通常は痛みが発生しませんので、子供の場合は保護者の方などが気づいてあげることが大切です。
 
精巣は、妊娠2か月ごろの胎児の段階ではお腹の中にあり、段々と陰嚢まで下降してきます。その際に、腹膜が陰嚢まで引きずられて降りてくるのです。生まれてくるころには、この腹膜鞘状突起の付け根が自然に閉じられるのですが、完全に閉じていないお子様も沢山います。
しかし、腹膜鞘状突起の付け根が開いていると、通常はお腹の中を循環している腹水が陰嚢まで下りてきて溜まることがあります。これが小児によく見られる陰嚢水腫です。なお、この病気は、陰嚢が膨らんでも痛みはありません。もし痛みがあるときは、ヘルニアや精巣上体炎、精索捻転など、他の疾患の可能性があるのです。手遅れにならないよう、すぐに医療機関を受診するようにしてください。

大人の陰嚢水腫は小児と発生機序は異なりますが、どのようなきっかけで発生するのか原因はよくわかっていません。
 
治療は、根本的に治すには手術です。30分~1時間程度の手術で、数日の入院で行うところが多いです。小児の場合など腹腔内とつながっている場合は鼠径ヘルニアに準じた手術が必要になります。大人の陰嚢水腫では針を刺して一時的に中の液体を抜いてしまう方法もありますが、根本的な治療ではなく、また徐々に水がたまって大きくなっていきます。
 
似たような病気で精液瘤というものもあります。精液を運ぶの管の一部にこぶができて精液がたまってしまう病気で、陰嚢が大きくなります。内溶液を確認することで陰嚢水腫と区別することができますが、根本的な治療には手術が必要になります。また、同じように痛みがなく陰嚢が大きくなる病気で怖いのは精巣がんです。発生頻度は陰嚢水腫に比べて少ないですが、陰嚢が大きくなってくることがあったら、一度泌尿器科を受診しましょう。

 精巣がん

 

 精巣がんとは

 
精巣にある細胞から発生する腫瘍です。精巣がんに罹患する割合は10万人あたり約1人であり、比較的まれな腫瘍です。しかし、若い年齢層(10歳代後半~30歳代)に発症のピークがあり、この年齢層の男性においては、最も罹患者数が多い固形がんなのです。
 

 精巣がんの症状

 
主な症状は、精巣内の腫れやしこりですが、片方の陰嚢が大きくなってきたことで気づくことが多いです。しかし、場所が場所だけにかなり進行するまで放置してしまうこともあります。
 
放置した場合、比較的短期間で転移を起こすため、その転移先の症状が先に生じ、そこから精巣がんが見つかることもあります。転移した部位によって症状は異なり、例えば腹部リンパ節への転移ならば、腹部のしこりや腹痛、腰痛など見られますし、肺への転移では息切れや咳、血痰などが見られます。そうなると治療も大変になってきますので、陰嚢が大きくなってきた、硬くなってきた、しこりがあるなど気になる症状がある場合は、決して放置せずに早めに泌尿器科で診察を受けましょう。
 

 精巣がんの治療

 
治療については、まずは病気のある精巣の摘出手術(高位精巣摘除術)を行ないます。摘出した精巣の病理診断と腫瘍マーカーの値によって、大きくセミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマに分類します。更に転移の有無によりステージを決定します。

セミノーマの場合、ステージⅠ期ならば精巣摘除術をおこなったあと、経過観察します。しかし、予防的に放射線治療や化学療法を実施し、再発率を引下げる試みもしばしば行われます。Ⅱ期以上ならば、放射線治療、抗がん剤による化学療法などを行います。
非セミノーマの場合は、Ⅰ期で脈管侵襲があるケースでは、再発の危険性が高いため、化学療法を追加することもあります。Ⅱ期以上のときは、精巣を摘出した後で抗がん剤による化学治療が行われます。
 
精巣がんは化学療法が非常に有効な癌の1つです。進行した状態からでも完治できる可能性が高い癌ですので、転移があったりする場合でもしっかりと治療を受けることが大切です。

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